2007 Fiscal Year Annual Research Report
双方向の古典通信を用いた効率の良い量子鍵配送プロトコルの開発
Project/Area Number |
07J07137
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 峻 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子鍵配送プロトコル / 双方向古典通信 |
Research Abstract |
量子鍵配送プロトコルは,様々な暗号技術で必要な秘密鍵を送受信者間で共有するためのプロトコルである.その安全性は従来の公開鍵暗号方式における計算困難性に基づいた安全性とは異なり,量子力学の原理によって保証される. 量子鍵配送プロトコルでは,通信媒体として用いる単一光子の伝送速度(一秒間に伝送できる単一光子の数)が低いため,秘密鍵の伝送速度(一秒間に伝送できる秘密鍵のビット数)が低いという欠点がある.量子鍵配送プロトコルでは,単一光子の伝送に加え,誤り訂正や秘密増幅で必要な情報を通常の古典的な通信路で伝送する.単一光子の伝送速度に比べると,誤り訂正や秘密増幅に必要な古典情報の伝送速度は十分に高いので,システムを多少複雑にしても,単一光子一回の伝送あたり共有できる安全な鍵の長さ(鍵共有のレート)を向上させることで,プロトコルの秘密鍵の伝送速度を上げることができる.本研究では,鍵共有のレートが高い双方向の古典通信を用いた量子鍵配送プロトコルを提案する. 今年度の研究では,双方向の古典通信を用いた量子鍵配送プロトコルにおいて,従来は送信者がそのまま送っていたビット列を,ハッシュして送るプロトコルを提案した.提案プロトコルはGottesmanらの構成法で構成できるプロトコルには含まれていない為,大変画期的であった.そして,提案プロトコルの鍵生成レートは,既存のプロトコル全ての鍵生成レートを上回っている.
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