2007 Fiscal Year Annual Research Report
不安定周期軌道を用いた大自由度カオス力学系の統計性の研究
Project/Area Number |
07J07153
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 幹 Kyoto University, 情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カオス / 不安定周期軌道 |
Research Abstract |
特別研究員DC2に採用された際に提出した申請書類に記した、研究計画に沿って研究実施状況について述べる。申請書類には、以下の2点を今年度の研究計画として挙げている。 (1)大自由度力学系の不安定周期軌道を見つけるアルゴリズムの開発 本研究を京都大学研究員藤原直哉氏と大阪府立大学講師水口毅氏と共に行い、アルゴリズムの開発に成功した。本方法は、遅れフィードバック法を拡張したものであり、シェルモデル乱流やギンツグルグーランダウ方程式に適用して不安定周期軌道の探索に成功した。本方法は、従来の遅れフィードバック法の短所である、遅れ時間の見積もりの困難さを克服したものである。さらに、本法を用いることで、カオス的な時系列データーから不安定周期軌道を見つけることも出来る。これは、従来の遅れフィードバック法では不可能な事柄である。今年度中にも、論文として発表する予定である。 (2)UPO法(不安定周期軌道を用いてカオスの統計量を決定する手法)を様々な少数あるいは多自由度カオス系に適応すること 決定論的拡散を示す写像系の拡散係数をUPO法で決定することに成功した。現在、論文を執筆中である。数ヶ月後には投稿予定である。さらに、蔵本-シバシンスキー方程式にUPO法を適用するために必要な予備的研究を行い、Progress Theoretical Physicsへ論文を発表した。本研究は、蔵本-シバシンスキー方程式の時間相関関数を近似的に導出することに成功した。本研究の特徴は、時間相関関数を時間に依存しない静的な統計量のみで近似可能な点である。
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Research Products
(4 results)