2008 Fiscal Year Annual Research Report
不安定周期軌道を用いた大自由度カオス系における統計性の研究
Project/Area Number |
07J07153
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 幹 Kyoto University, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | カオス力学系 / 不安定周期軌道 |
Research Abstract |
平成20年度における研究実績は、大きく分けると以下の2つである。一つ目は大自由度カオス力学系における不安定周期軌道を比較的簡単に求めることが出来る方法を提案したことである。二つ目は、平成19年度に我々が提案したUPO法の適用範囲を広げるよう拡張したことである。以下、具体的に行ったことを記述する。 (1)大自由度カオス力学系に内在する不安定周期軌道を数値的に求める方法を提案し、それをKuramoto-Shivashinski方程式に適用することで、様々な不安定周期軌道を求めた。我々の方法の利点は、対称性を持った不安定周期軌道を比較的簡単に求められることである。対称性を持った不安定周期軌道を求めるのは、従来では非常に複雑な方法を必要としていたが、本方法は比較的簡単に求められる。 (2)UPO法を拡張することで、時間相関関数だけでなく、大偏差統計量を扱うことを可能とした。前年度に提案したUPO法は、カオス力学系における時間相関関数を不安定周期軌道で近似する方法であったが、今回大偏差統計量をも近似的に決定できるように拡張した。カオスの特徴付けには、時間相関関数だけでは不十分であることが知られており、大偏差統計関数を考える必要性が指摘されている。従って、UPO法を大偏差統計関数まで拡張出来たことは大きな進歩であると考えられる。
|
Research Products
(7 results)