2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J07159
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大熊 孝広 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 複合粒子 / 識別不可能性原理 / ボーズアインシュタイン凝縮 / 分子間衝突 / 確率過程のダイナミクス / ゆらぎ |
Research Abstract |
我々は複合粒子と元の原子の量子統計性の違いがマクロにどう現れるのかについて、統計物理学的な研究を行っている。そこではLee-Yangによって開発された手法を用いて、多体の相互作用クラスターでの展開により束縛状態として分子を考察する。これまでボーズ粒子である2原子分子のBEC転移を示すあるダイアグラムの部分和が得られていたが、今回はそれを一般化し、任意の個数の原子がひとつの束縛状態を作る際にも適応できるようにした。これによってより一般的な複合粒子についての性質が議論できるようになることが期待される。希薄ボーズガス系においては粒子の散乱の強さを決めることは凝縮対の静的・動的な物性を決定する上でとても大切である。分子間衝突についてはBECの側から低エネルギーでの寄与の解析を進めている。 凝縮体の動力学方程式としては絶対零度でのGross-Pitaevskii方程式がよく知られている。一方、最近BEC凝縮体も熱的な古典成分の中においてLangevin型で記述できるという提案がなされている。我々はこのLangevin方程式の記述に注目して、当初の研究計画に加え、確率過程を用いて非平衡状態の特徴付けを行うための基礎的研究も行った。非マルコフ的時間発展をするLangevin方程式系についてもゆらぎの定理やJarzynski等式などが成立し、適応できることを明らかにした。これは有限温度で磁場を変化させるような任意の外部操作に対する系のエントロピーの増減の確率や応答の一般的性質を表現し、実験的な応用が期待される。
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Research Products
(2 results)