2007 Fiscal Year Annual Research Report
マントル鉱物の格子選択配向と地震波速度異方性およびマントルダイナミクスへの応用
Project/Area Number |
07J07180
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白石 令 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マントル / 水 / 異方性 / かんらん石 / スラブ / 塑性変形 / 対流 / 格子選択配向 |
Research Abstract |
(1)マルチアンビル型高圧発生装置を用いた研究 沈み込むスラブがマントル遷移層にてどのような挙動を示すかを知るために、マントル遷移層構成鉱物の変形特性を調べることは重要である。マントル遷移層構成鉱物の一つであるアキモトアイトをマルチアンビル型高圧発生装置を用いて塑性変形させ、その結晶軸の配向性を調べた。アキモトアイトのC軸が高温条件下では圧縮方向に、低温条件下では、それと直角する方向に配列することがわかった。また、この結晶軸の配列から作り出される地震波速度異方性を計算し、トンガスラブにて観測される地震波速度異方性データと比較した。その結果、トンガスラブの北部、南部で観測される異方性の違いは、アキモトアイトの配向性の温度による違いで説明可能であることを示すことができた。この結果を論文にまとめ、Natureに投稿し、現在査読中である。 (2)Griggs型変形試験装置を用いた研究 地震波速度の観測から上部マントルは異方的な構造を持つことが明らかにされており、それは構成鉱物であるオリビンが塑性変形によりある結晶軸をある方向に揃えるためだと考えられている。また、それは対流の方向と関連性があるとされ、マントル対流シミュレーション等でもさかんに議論されている。温度や水の量、応力が変化すると、結晶軸のそろう向きが変化することがこれまでの実験により明らかにされてきたが、パターンが変化する具体的な条件は正確に決定されていない。そこで、温度・圧力・含水量・応力を制御した条件下において、オリビンをある方向にせん断変形させ、どのような配向を示すかを実験的に調べた。回収試料は、EBSD(電子後方散乱回折装置)を使用して結晶軸の配向性を測定した。これらの実験、解析は2度にわたるYale大学への滞在期間中に行った。
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Research Products
(4 results)