2007 Fiscal Year Annual Research Report
コノドント化石層序に基づく古生代の生物大量絶滅事件の解読
Project/Area Number |
07J07212
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上松 佐知子 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 助教
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Keywords | コノドント / テンタキュライト / オルトビス紀 / シルル紀 / デボン紀 / 国際情報交換 / タイ |
Research Abstract |
平成19年度の研究計画にもとづき、野外調査、室内作業および学会発表と論文発表を行った。野外調査は平成19年7月と平成20年3月にタイ国において行い、石灰岩および頁岩試料約130個を採取した。当初はタイおよびマレーシア国で1度ずつの調査を予定していたが、1度目の調査によってタイ国北部Li地域より保存良好なコノドントおよびテンタキュライト化石が多産することが明らかになったため、再度同地域において行うこととした。これらの試料の観察と酢酸・フッ酸処理を行ったところ、7属15種のコノドント化石と2属2種のテンタキュライト化石が得られた。コノドント化石は中期オルドビス紀と後期シルル紀〜前期デボン紀を、テンタキュライト化石は前期デボン紀を示す。またタイ国北部Li地域と西部Thong Pha Phum地域から予察的に採取してあった石灰岩試料の酢酸処理を行ったところ、中期オルドビス紀のコノドント化石を得ることができた。これらの化石と岩相解析に基づき、調査地域における生層序の確立と対比、古生物地理の議論、堆積環境に関する考察を行った。その結果,中期オルドビス紀と後期シルル紀〜前期デボン紀には北米・ヨーロッパ地域とは異なる東南アジア地域特有の古環境の変動があったことが明らかになった。 今回調査を行ったセクションの周辺には未調査の石灰岩、砕屑岩類が分布するため、さらに調査範囲を広げることでオルドビス紀-シルル紀境界層およびFrasnian-Famenian境界層までの岩相および化石層序を確立することが可能であると考えられる。
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Research Products
(3 results)