2007 Fiscal Year Annual Research Report
β2ミクログロブリンのアミロイド線維形成反応の阻害
Project/Area Number |
07J07230
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 香織 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アミロイド線維 / β2ミクログロブリン / 透析アミロイドーシス / ジスルフィド結合 / 還元剤 |
Research Abstract |
本研究では、アミロイド線維の阻害方法を模索するために、β2ミクログロブリン(β2-m)のジスルフィド(SS)結合に着目した。β2-mは長期血液透析患者に頻発する透析アミロイドーシスの原因となる蛋白質であり、SS結合を1つ持つ。このSS結合は天然状態やアミロイド線維においては蛋白質内部に埋もれて還元剤の影響を受けにくいが、変性剤などで構造が壊れた状態では容易に還元される。私は、線維形成過程における中間体を還元剤で攻撃すれば、SS結合が速やかに還元されてアミロイド線維の形成を阻害することが出来るのではないかと考えた。本研究では、中性条件(pH7.0)におけるβ2-mの線維形成に対する還元剤の阻害効果を中心的に調べた。実験には、これまでの研究によって確立されてきた3種類の条件(シードの添加、超音波照射、高塩濃度存在下での攪拌と加熱)を用いた。線維形成の有無の確認は、アミロイド線維に特異的に結合する蛍光色素チオフラビンT(ThT)の蛍光および電子顕微鏡、円二色性分光法(CD)を用いて行った。いずれの条件でも、還元剤存在下ではThT蛍光の上昇が抑えられ、CDからは線維とは異なる二次構造を示すスペクトルが得られた。反応後の溶液を電子顕微鏡で観察すると、アモルファスな凝集物のみが見られ、線維は観察されなかった。以上の結果より、in vitroにおけるβ2-mアミロイド線維形成に対する還元剤の阻害効果が確認され、還元剤は線維形成過程に存在するβ2-mの部分変性状態に有効に作用することがわかった。
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