2007 Fiscal Year Annual Research Report
情報伝達物質輸送系の同定を目指したABCA輸送体の機能解析
Project/Area Number |
07J07249
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大東 穂 Osaka University, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ABCA輸送体 / ABCA5 / アドレナリン作動性神経 / 免疫染色 / ノックアウトマウス / 脳 |
Research Abstract |
【背景】近年、ABC(ATP Binding Cassette)輸送体のAサブファミリーにおいて、脂質を能動的に輸送するタンパク質が存在することが明らかになっている。また、脂質メディエーターやステロイドホルモン類など脂溶性の情報伝達物質は、細胞外への放出機構が分かっていない。ゲノム解析より明らかとなったABCA輸送体サブファミリーの中には、機能未知のオーファン輸送体が多く存在する。この機能未知のABCA輸送体の生理的機能を解析することによって、脂溶性の情報伝達物質の放出機構を明らかにすることを目指している。 【成果】本研究では機能未知のABCA輸送体の中でもABCA5に注目し、その機能を明らかにすることを目的とした。ABCA5のモノクローナル抗体を作成しABCA5の組織や細胞内での局在を解析した。これまでにウェスタンブロッティング解析から、ABCA5は脳、精巣、肺に特に多く発現していることを明らかにしているが、組織切片を用いて免疫染色すると、ABCA5は脳ではニューロンやオリゴデンドロサイトに発現していることが明らかになった。さらにマーカータンパク質の抗体を用いて詳細に解析すると、ABCA5はVGAT染色陽性のGABA作動性ニューロンに一部発現し、PNMT染色陽性のノルアドレナリン作動性ニューロンに非常に多く発現していた。このことから、ABCA5はノルアドレナリンに関わる細胞で何らかの機能を果たしている可能性が考えられたため、副腎でのABCA5の発現を観察すると、ABCA5は副腎髄質に発現していることが明らかになった。 ABCA5の局在解析を進めるうちに、ノルアドレナリン作動性神経や副腎髄質など、ノルアドレナリンを合成、放出する細胞での発現が明らかになった。ABCA5がこれらの細胞でどのような機能を果たしているのか詳細を解析中である。
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Research Products
(2 results)