2007 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療本格化のための上皮幹細胞生物学に関する研究
Project/Area Number |
07J07276
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村上 大輔 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 口腔粘膜上皮細胞シート / 再生医療 / 上皮間葉系変換 |
Research Abstract |
今年度は、培養上皮細胞シート移植における上皮再生機構を明らかにすることを目的に、in vitroの培養口腔粘膜上皮細胞シートの詳細な解析およびラット食道への上皮細胞シートの移植の技術習得をおこなうことを計画した。 成果としては、ヒト重層化口腔粘膜上皮細胞シートの比較的未分化な基底層の細胞は、上皮-間葉系変換(Epithelial-mesemcymal transition: EMT)を起こしている可能性を示唆した。これまで、生体の重層扁平上皮組織と類似した構造を有する上皮細胞シートの基底細胞には未分化な幹/前駆細胞が局在し、それらの細胞を移植・供給することで上皮の再生に寄与していると考えられてきた。しかし今回、細胞-細胞間ジャンクションに関与する種々のタンパク質において、培養口腔粘膜上皮細胞シートと正常口腔粘膜上皮の基底細胞では大きく異なる表現パターンを示すことが明らかになった。また、細胞シートの基底細胞は、上皮系細胞のマーカーであるケラチン陽性かつ間葉系細胞マーカーであるビメンチンも陽性であり、上皮系および間葉系という全く異なる細胞種のマーカーを同時に発現していた。さらにDNAアレイを用いて培養上皮細胞シートの網羅的遺伝子発現解析の結果から、培養口腔粘膜上皮細胞シートでは、培養前の正常口腔粘膜上皮と比較して、MMPやフィプロネクチン等の間葉系細胞に強発現している遺伝子群の発現が著しく上昇していることも確認された。以上の結果から、培養細胞シートの基底細胞に観察された非常に興味深い特性は、EMTという現象であると考えられた。EMTは、生体内では、初期発生や創傷治癒、がんの転移といった際に観察されることが知られている。この培養上皮細胞シートの基底細胞におけるEMTが、シート移植による上皮再生機構に関与しているかは不明であるが、今後検討していきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Grand Espoir: Robotics in Regenerative Medicine2007
Author(s)
Masayuki Yamato, Ryo Takagi, Makoto Kondo, Daisuke Murakami, Takeshi Ohki, Hidekazu Sekine, Tatsuya Shimizu, Jun Kobayashi, Yoshikatsu Akiyama, HideoNamiki, Masakazu Yamamoto, and Teruo Okano
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Journal Title
Journal of Robotics and Mechatronics Vol.19 No.5
Pages: 3050-3055
Peer Reviewed
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