2007 Fiscal Year Annual Research Report
表面観察による隕石を構成する微粒子の形成・集積過程の解明
Project/Area Number |
07J07309
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野澤 純 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 結晶成長 / コロイド結晶 / 隕石 / 表面観察 |
Research Abstract |
前年度までに、隕石中のマグネタイトについてSEMによる形体、粒径、産状の観察、TEMによる鉱物同定、内部組織の観察などを行っていた。これらの観察により隕石中に初めてマグネタイトからなるコロイド結晶が存在している事が示された。このコロイド結晶の存在は三つの点で非常に興味深い。一つ目は、コロイド結晶は現在、コロイド科学、材料科学の中で最先端のトピックの一つであるが、それが太陽系が形成した直後の46億年も前に既にできていたという事である。二つ目はマグネタイトの粒径が揃っているという事である。マグネタイトは磁気を持っている為に、人工的に合成すると核形成後直ちに合体成長をしてしまい粒径の揃った物はできない。これまで、磁気をもったマグネタイトの単分散粒子が合成された例は無い。三つ目はマグネタイト粒子が規則正しく配列している事である。溶液中でのコロイド粒子の規則配列は粒子同士の相互作用が斥力の時に起きる。ここで、前述したようにマグネタイトは磁気を持つために粒子同士の相互作用は強い引力であるので規則配列することは予想されない。マグネタイトのコロイド結晶化には磁気が非常に大きな影響を及ぼしている。よって、隕石中のマグネタイト粒子の磁気の状態が実際どのようになっているのか磁気力顕微鏡(MFM)を用いて調べた。その結果、隕石中のマグネタイト粒子はそれぞれが磁気を持ち、その磁気の方向はランダムである事が明らかになった。マグネタイト粒子が集まって規則配列したとすると、磁気の方向が揃う事が予想されるが異なる結果が得られた。以上のことを考慮すると、マグネタイト粒子がコロイド結晶化するのは困難であることが分かる。よってmagnetiteには前駆体が存在し、その粒子がコロイド結晶化しその後マグネタイトに交代する全く新しい形成プロセスを提示した。
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Research Products
(5 results)