2007 Fiscal Year Annual Research Report
北太平洋の中層における約20年周期変動と潮汐の18.6年周期変動の関係
Project/Area Number |
07J07317
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長船 哲史 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 20年変動 / 潮汐18.6変動 / 乱流鉛直混合 / 水塊 |
Research Abstract |
日本南方海域の海洋表・中層において、密度面深度、表層塩分・栄養塩等に約20年周期の変動を見出した。沿岸域表層付近の密度面深度は、亜寒帯域で見られた変動と同期しており、潮汐の18.6年周期変動と比較すると、日周潮が強い時期に等密度面が浅いという変動を示した。このことは、Yasuda, et. al.(2006)で示唆された、潮汐混合に伴う密度構造の変化が、沿岸を伝播することで黒潮を変化させている可能陸を示唆している。この密度面深度の変動と同期して表層の塩分・栄養塩が変動しており、等密度面が浅い時期に表層が低塩・高栄養塩である傾向があった。これは、密度面が浅い時期には、より高い密度帯の水が表層混合層へ取り込まれていたことを示唆している。 一方で、より南方沖では密度面深度は沿岸とは逆の変動傾向を示した。これは黒潮大蛇行の発生ともよく一致しており、日周潮が弱い時期に大蛇行が生じやすレ噸向を示した。同海域における表中層の水塊変動も、大蛇行に伴う沿岸水の張り出しと整合的な変動となっていた。以上のことから、潮汐の18.6年周期変動が、日本南岸における密度・流動構造、さらには周辺海域の生物生産等にも影響を与えてい為可能性が示唆された。 また、千島列島間の主要な海峡の一つであるクルーゼンシュテルン海峡周辺において取得されたデータの解析も行った。等密度面上の水温・酸素濃度から、中層ではオホーツク海水、下層では太平洋水の影響が強いことが示された。しかしながら、両海水の等密度面混合によっては説明出来ない水塊が存在しており、鉛直混合による水塊変質の重要性が示唆された。乱流観測からも、定常的に比較的大きな混合が存在し、また中層付近においては突発的に非常に大きな混合が生じている様子が捉えられた。
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Research Products
(3 results)