2008 Fiscal Year Annual Research Report
GISを利用した考古学情報の空間分析法についての研究と実践
Project/Area Number |
07J07347
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲畑 航平 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 縄文時代前期 / GIS考古学 / 空間分析 / 縄文土器 / 遺跡データベース / カーネル密度推定 / 北白川下層式 / 〓状耳飾 |
Research Abstract |
本研究は、GIS(地理情報システム)を利用して、考古学情報の時空間的様相を解析し、多角的に統合・分析する方法の確立を目的とする。 このとき、考古学的な基礎データの作成と、GISによる空間分析を有機的に関連させることで、より効果的な結果が得られると考える。すなわち、GISによる処理を視野に入れた考古学研究、あるいは考古学情報の処理に特化した空間分析手法が求められる。 そこで、本研究では、縄文時化前期における関西地方の社会変化についての研究をケース・スタディとして位置づけ、あくまでも型式学的・技術学的検討を重視しながら、その延長としてGISを利用しか空間分析を行っている。 今年度は、(A)昨年度に構築を始めたデータベースをさらに充実させるとともに、これをもとに(B)GISによる高度な分析法の模索を開始した。具体的には、下記の作業を行った。 (1)京都府南栗ヶ塚遺跡出土土器の整理・分析 データベースのさらなる充実にとどまらず、出土土器の全数的・体系的な把握によって他遺跡の出土土器の数量的処理法に道筋をつけること、および、型式学的・技術学的な検討によって当該期の土器の様相とその変遷をより深く理解することを目的として、京都府長岡京市南栗ヶ塚遺跡出土土器の整理・分析を行った。この成果は、来年度に刊行予定の『長岡泉市文化財調査報告書』に掲載される予定である。 (2)遺跡立地の空間分析法についての研究 GISによる考古学情報分析のケース・スタディとして、飛騨地方における遺跡立地についての研究を行った。GISを利用した定量的な分析を、1)生態学的条件、2)遺跡領域、3)生業戦略という3つの観点から行うことにより、遺跡立地を読み解くことを試みた。その結果、飛騨地方には「谷指向型」景観と「盆地指向型」景観という2種類の立地類型が存在し、それぞれ異なる生業戦略を背景にもつため、状況の変化に対応して上地利用形態が変化することを指摘した。
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Research Products
(4 results)