2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会変動のメゾレベルの分析-集合的な排除経験、及び自助・支援の集合行為を中心に-
Project/Area Number |
07J07354
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱西 栄司 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 社会運動 / 社会的企業 / NPO / 福祉レジーム / 新し特い社会的リスク / 脱産業社会 / G8サミット / グローバル運動 |
Research Abstract |
当初の計画通り、一年目・二年目の研究成果をまとめ、『ソシオロジ』『現代社会学理論研究』『京都社会学年報』等に論文を掲載しつつ、国際学会・シンポジウム(Barcelona、京都大学)での英語報告もおこなった。前年に引き続き、「社会的企業」や「福祉NPO」の形態をとる自助・支援の集合行為(10団体に関する聞き取り調査、及び団体との共同調査・シンポジウム)や「反グローバル化運動や「政策提言NGO」の形態をとる自助・支援の集合行為(参与観察調査・共同イベント)の分析を行い、それらの現代的運動において従来の「新しい社会運動」(NSM)において自明視された「集合的アイデンティティ」の弱体化が見られ、そしてその背景に<産業社会で発生したカテゴリカルな「古いリスク」と(それを保障する)福祉国家からの排除⇒脱産業社会のパーソナルな「新しい社会的リスク」と(それを補完する)福祉レジームの市場化・多元化からの排除>への受苦変容(レジーム類型ごとに多様)があることを明らかにした。同時に、それらの運動(との接触)のなかで、個々人は、より競争的な経験やサービスの利用者・準「消費者」的な経験、あるいは自らが運動の積極的な担い手となる経験を得つつ、自分自身を再構築していく場合があることを示した。集合行為のレベルでみると、それらの変容は運動の制度化・商業化・弱体化と解釈されるものであるが、現代の脱産業社会・新しいリスクという社会変動を土台に個々人のレベルに焦点をあわせるならば、それらは経験の場・空間として重要な意義をもち、そこから生まれた運動はさらに脱産業社会の解体(脱近代化)を促進する可能性も有している。
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Research Products
(5 results)