2007 Fiscal Year Annual Research Report
社会変動のメゾレベルの分析-集合的な排除経験と自助・支援の集合行為を中心に
Project/Area Number |
07J07354
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱西 栄司 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 集合行為 / 制度 |
Research Abstract |
今年度は、計画に沿って排除・格差状況に関わる社会保障・福祉問題をめぐる紛争に関する調査と、集合行為/社会運動論の方法論的検討をおこなってきた。その過程で、(1)従来、連関なく研究されてきた、福祉や社会保障、労働、教育、環境などをめぐる様々な集合行為がいずれも広義の<制度(問題)をめぐる集合行為>という共通点を有していることから、「制度」「制度問題」「制度運動」といった-連の概念の体系化をおこない、また、(2)従来、一般理論構築の陰であまり取り組まれてこなかった「集合行為・紛争がある特性を担ってあらわれるのはなぜなのか」という問題(集合行為の特性・歴史性)に対して、(組織化や動員規模、成功/失敗といった形式的側面からではなく)イシューごとに類型化した上で、制度それ自体の持つ受苦受益構造、中心的団体の動員戦略、具体的な相互行為といった段階に区分けした説明モデル構築の可能性について研究を進めてきた。具体的には、まず60-80年代の「新しい社会運動」をめぐる諸研究を事例として、それらが(1)福祉国家というナショナルな制度総体を独立変数として、(2)「新しい社会運動」特性を担う集合行為が同時期に形成されてきた理由を説明するものと捉えられること、だがそれがゆえに(1)ローカルな個々の制度やグローバルな制度総体の事例を説明できず、またナショナルな制度総体についても権威主義的福祉国家の解体という現状を説明できないこと、また(2)具体的な個々の運動の形成過程を説明できないことを明らかにした。次にそれらの限界を乗り越えるものとして、ナショナルな制度問題をめぐる障害者/健常者の共同生活共同労働運動、及びグローバルな制度問題をめぐるトランスナショナルな集合行為等に関する歴史比較調査を行ってきた(追加で必要になった調査旅費には、「謝金」及び「その他」に当てた)。それらの調査成果の発表は次年度になる。また今年度はISA/RC47の6月のローマ会議に参加し、様々な意見交換をおこなったが、次年度はバルセロナで行なわれる同会議で実際に報告をおこなう予定である。
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