2009 Fiscal Year Annual Research Report
混合神経培養系によるシナプス形成の特異性の検証とその分子機構の解析
Project/Area Number |
07J07371
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 祥子 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 特異的シナプス形成 / 小脳回路 / 神経共培養 |
Research Abstract |
シナプス形成過程における神経細胞の認識機構は未だ理解が進んでいない。神経の認識機構を調べる目的で、培養系において神経細胞は標的を認識することができるのかを検証した。そのために、マウス脳の外稙片と分散神経細胞の共培養の系を確立し、小脳回路を形成している神経細胞同士を共培養し、正しい組み合わせと誤った組み合わせでシナプス形成がどうなるかを調べた。 まず培養下でも、顆粒細胞は橋核の軸索と生体内で形成されるものと非常によく似た形態のシナプスを形成した。一方、顆粒細胞は誤った組み合わせでる下オリーブ核や海馬の軸索と共培養した際も、シナプス自体は形成されたが、その形態は生体内で見られるものとは異なっていた。更に、それらのシナプスのリサイクリング活性についてFM色素を使った実験で調べた。その結果、正しい組み合わせではシナプス小胞の正常なリサイクリングが起きたが、誤った組み合わせでは、シナプス小胞の取り込みは起きるが、排出機構に異常があることがあることが示唆された。これらの結果は、培養下においても顆粒細胞は正しい標的の軸索とのみ、形態的にも生理的にも正しいシナプスを形成することを示している。よって、培養下においても神経細胞は標的の神経細胞を認識することが出来ることが明らかになった。本研究結果から、特異的なシナプス形成の研究に、培養神経細胞が利用できることが分かつたため、今後この分野に多大な貢献すると考えられる。本結果は論文としてまとめ、Proc Natl Acad Sci USAにて発表した。 論文執筆後、特異的なシナプス形成に関与する分子のスクリーニングのために、さまざまな阻害剤による培養下でのシナプス形成への影響を調べたが、特異的なシナプス形成に関与すると思われる分子の同定は現在できていない。そのような分子メカニズムを検証していくことが今後の課題である。
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Research Products
(9 results)