2007 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解X線回折法による半導体量子ドットにおける励起子緩和ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
07J07374
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
林 雄二郎 Hokkaido University, 電子科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 半導体量子ドット / 時間分解X線回折法 / 無冷媒型低振動クライオスタット / 自己形成InAs量子ドット / 視斜角入射X線回折 / 高輝度放射光(SPring-8) |
Research Abstract |
本研究では、申請者らが新たに開発した時間分解X線回折法を用いて、半導体量子ドットの格子歪をピコ秒分解能で直接観測し、量子ドットにおける電子のエネルギー緩和機構を解明することを目的としている。初年度は、X線回折測定におけるバックグランドとなるフォノンを極力低減し、時間分解測定に必要な長時間測定を実現するための(a)無冷媒型低振動クライオスタットの開発と、(b)高輝度放射光を用いた視斜角入射X線回折法による半導体量子ドット中の歪評価を行った。 (a)について、Heガスクローズドサイクル型冷凍機を用いてその駆動部の振動が試料ホルダに伝わるのを抑えるために、真空部において最低温度(4K)到達部から試料ホルダ部を銀線で接続し、試料ホルダは光学定盤に、冷凍機本体は光学定盤とは別に設けた専用架台にそれぞれ固定した。また、真空シュラウド部にベローズを用いた。試料ホルダの最低到達温度は12Kで、試料ホルダ付近に設けた光学窓から、対物レンズを使って冷凍機運転時の試料を観察した結果、試料の振動振幅は観察限界の0.2ミクロン以下であった。実際にこのクライオスタットを用いて、共焦点型顕微分光法によりInAs量子ドット試料の分光測定を行った結果、長時間測定で安定して単一量子ドット分光が可能であった。 (b)について、GaAs基板の上に成長した直径約30nm高さ約5nmのInAs量子ドットにおける格子歪を評価するために、高輝度放射光を提供するSPring-8 BL19LXUにおいて視斜角入射X線回折実験を行った。その結果、InAs量子ドットからのX線回折強度はGaAs基板のピーク強度に比べて4桁低いが、非時間分解測定では十分評価できる程度の回折強度が得られ、量子ドット中の格子定数分布はバルクのGaAsからInAsの格子定数まで広く分布していることが分かった。
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Research Products
(4 results)