2008 Fiscal Year Annual Research Report
優れたき裂治癒能力を利用したセラミックスの高能率な機械加工法
Project/Area Number |
07J07385
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
長田 俊郎 Yokohama National University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | き裂治癒 / セラミックス / 複合材 / 機械加工 / 加工能率 / 高温強度 / 高温疲労 / 燃焼ガス |
Research Abstract |
高温環境下におけるき裂治癒部の信頼性を評価した.1年目に開発した,セラミックスの高能率な研削加工手法に基づき作製した試験片を用いて,加工き裂治癒材強度特性の温度依存性を評価し,これら治癒部が高温環境下においても十分な強度を有することを実証するため,同研削加工手法に基づき作製した試験片を用いて,加工き裂治癒材の高温疲労強度特性を評価し,これら治癒部がガスタービンの燃焼ガス等の使用環境下においても十分な疲労強度を有することを実証した. (1)強加工を施したアルミナ/炭化ケイ素粒子複合材のき裂治癒による強度回復挙動:加工効率が高くコストが低い強加工を施した機械加工材に対してもき裂治癒は有用であり強度が完全に回復することを明らかとした. (2)強加工を施したアルミナ/炭化ケイ素ウィスカー複合材のき裂治癒による強度回復挙動:強加工を施した機械加工材に対してもき裂治癒は有用であり強度が完全に回復することを明らかとした.また,その結果,加工能率を大幅に向上させることに成功した.さらに,高温疲労特性を調査し,疲労環境下においてもき裂治癒部は母材より強固であることを明らかにした.したがって,セラミックスに強加工を施したとしても,その後最適な条件で導入されたき裂を治癒することにより,セラミックス部材の信頼性を高温域まで確保することが可能となることが明らかとなった. (3)アルミナ/炭化ケイ粒子素複合材の低酸素分圧下におけるき裂治癒挙動:使用中に部材に発生するき裂を模擬し,インデンテーション法により導入したき裂は燃焼ガスを模擬した低酸素分圧下(PO2>50Pa)であってもき裂治癒可能であることが明らかとなった.さらに,そのき裂治癒速度(vH)を使用温度(TH)及び酸素分圧(PO2)の関数として下式のように定式化することに成功した. vH=6.95・105exp(-4.65・104/TH)PO20.835. この予測式を用いることにより,使用条件である温度及び酸素分圧から,き裂を完治するために必要な最短時間を見積もることができる.以上の成果は,高温構造用部材としてのセラミックスの信頼性及び経済性改善に対し大きく寄与するものと期待される.また,アルミナ/炭化ケイ素複合材をマイクロガスタービン等の高温構造用材料へ応用することに対し極めて有用な成果であると結論づけられる.
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Research Products
(6 results)