2007 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本のフリースクールにおける道徳規範の生成と変容に関する実証的研究
Project/Area Number |
07J07420
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森田 次朗 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フリースクール / 道徳規範 / 日常的実践 / 教育の公共性 / オルタナティブ教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は二つある。第一の目的は、日本社会におけるフリースクールが公立学校や教育委員会、心理カウンセラーといった外部社会との間で繰り広げる、子どもにとってのあるべき教育をめぐる主導権争いに焦点をあわせ、これらが相互にどのような道徳規範(教育理念)を構成しながら、主導権の獲得を目指し葛藤していくかを明らかにすることである。第二の目的は、こうしたフリースクールによる道徳規範をめぐる主導権争いの過程を、フリースクールの利用者自身が、日々の生活の中でいかに活用していくかについて考察することである。以上の研究目的をふまえ、平成19年度の研究計画は、3年間にわたる研究の基礎作業として、先行研究では見逃されてきた、日本社会におけるフリースクールの多様性について、フィールドワークと、文献・資料収集を通して実態把握を行うことであった。以下、これら二つの研究方法ごとに、研究実績の概要を説明する。第一に、フィールドワークについて。まず、研究代表者は、修士課程進学以降、京都市所在のフリースクールにおいて参与観察を行ってきたが、これまでの調査結果の要点をまとめた研究報告を、2007年に関西社会学会で行った。こうした研究の意義は、従来、行政機関に対抗的なものだと考えられてきたフリースクール像とは対照的に、行政機関や他の民間教育施設などと協働することで、子ども達のニーズに柔軟に応えながら、自らの教育理念を日常的に実践していくフリースクール像を明らかにした点にある。第二に、文献・資料収集について。先行研究では、日本のフリースクールは、不登校問題に特化するという意味で、欧米などのそれと比べ「特殊」であるとされてきた。そのため、国内外の関連文献および資料を収集し精読を進めることで、その特殊性について再検討を行い、こうした文献研究の成果を、社会学の雑誌である『京都社会学年報』に投稿した。
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Research Products
(4 results)