2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J07422
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹原 清日 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | セルピン / コンフォメーション病 / 痴呆 / X線結晶構造解析 / 蛋白質の折りたたみ / 神経変性 / 凝集体形成 / 脳 |
Research Abstract |
セルピン(serpin:serine protease inhibitorに属する蛋白質群)はコンフォメーション病の病原蛋白質で、独特のポリマー化機構により生体内で凝集体を形成し、若年性痴呆症、肝硬変などを引き起こす。そこで、人体に安全な糖類・有機酸によるポリマー化抑止のメカニズムを解明するため、ポリマー化すると若年性認知症を引き起こすことで知られるニューロセルピンについて、X線結晶構造解析、熱安定性の評価などを行った。 Wild-typeの天然型については、グリセロール存在下で結晶化を行い、2.1Aの反射を得て解析に成功した。 その結果、病原性変異体の変異箇所付近の残基が込み合って不安定な構造をしており、このことがポリマー化しやすい原因の一つであることが示唆された。また、グリセロール、トレハロース存在/非存在下で示差走査熱量測定によりTm値を決定したところ、いずれの糖類でも熱安定化している事が明らかとなった。更に、「なぜセルピンの天然型構造が準安定型であるのか?」という、セルピン病発症の根本原因を調べるため、ループ挿入能が無いセルピンであるオボアルブミンについてRefolding解析を行った。 その結果、準安定型のFolding中間体が存在することを発見し、これがコンフォメーション病の原因である大規模なタンパク質の立体構造変化と何らかの関係があることが示唆された[発表論文1,学会発表1,3:第二発表者]。また、ニューロセルピンの病原性変異体Latent種(熱安定型分子種)について、ポリマー形成能など諸性質を解析した。今回得た結晶構造を基に更に解析を進めた結果、最も認知症の発症年齢が低い変異体Latent種は、他の変異体とは別の経路を経てポリマー化することが明らかとなった[学会発表2]。
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Research Products
(4 results)