2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨学的形質を用いた獣脚類の呼吸器系進化の解析〜生物進化と環境変動の対応を探る試み
Project/Area Number |
07J07439
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平沢 達矢 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生物進化 / 中生代 / 脊椎動物 / 恐竜 / 獣脚類 / 呼吸器系 / 胸郭 / 鳥類 |
Research Abstract |
これまでに記載された中生代獣脚類について文献調査を展開し、19世紀中頃から現在までの記録の大半を洗い出した。これまで胸郭の骨学的特徴の情報は不足していたが、この調査によって過去に記載された標本を包括的に扱う準備が整った. また、Museumd' Histoire Naturelle(Paris)および、Natural History Museum(London)、林原自然科学博物館(岡山)に滞在し、所蔵されている獣脚類化石について、観察・計測を行った。両博物館コレクションの獣脚類標本の大半について調査を実施したが、今年度調査した標本は、化石の保存状態も良く、また、これまで胸郭の形態について情報が少なかった分類群であるため、ここで得られたデータは今1後の研究にとって重要な鍵となっていくだろうと予想している. 今年度は、胸郭の離散的な形質について特に重点的に研究をした.博物館における標本調査および文献調査のいずれにおいても、椎骨や肋骨、胸骨、腹肋等の各骨格要素について、例えば「骨化している(1);骨化していない(0)」のように表すようにし、現在までに107種(標本調査:31種;文献調査:76種)の骨学的形質をコンパイルした. これらの形質は、ソフトウェアMesquiteを用いて最節約法で進化プロセスを復元した.この結果については、大学内の古生物学セミナーで発表し、論文としてまとめる準備を現在行っている. 同様に、胸郭の連続的な形質(例えば、肋骨の曲率)についてもデータを取ってあり、こちらについても系統図上で形態進化について、特に機能形態学的な観点からアプローチする予定である. さらに、現生四肢動物の呼吸器系に関与する指標(例えばtidal volume)についてもデータを集めており、機能形態学的な解析手法を開発する準備は整い始めている.
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