2007 Fiscal Year Annual Research Report
古代エジプトデルタ地帯における動物相の変遷とその利用
Project/Area Number |
07J07444
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北川 千織 Nagoya University, 文学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 考古学 / 動物考古学 / エジプト考古学 |
Research Abstract |
エジプトの東デルタにあるカンティール遺跡は、古代エジプトのラムセス2世の首都が置かれていた遺跡である。これまで約25年にわたりフィールド調査が行われてきたが、今年か来年中にて調査が終了される予定となった。そうした節目の時期に本遺跡の動物遺体に関して、資料を博士論文としてまとめ、カンティールシリーズ中の1冊として来年頃に出版する予定である。動物遺体一般の調査結果は報告済み資料と未出版の資料がある。博士論文では全てをまとめて分析した。結果としては遺跡で利用された動物はその大部分(骨片数データによると90%以上)が家畜であったが、割合は少ないが多様な野生動物(キリン、ライオン、カバ、ゾウ、アンテロープ、ガゼル、ダマジカなど)も狩猟や交易などにより遺跡に持ち込まれていたことが明らかになった。動物の輸入は、エジプトのその他の遺跡、例えばテル・エル・ダバ遺跡(東デルタ)、アビドス遺跡(中エジプト)、ツナ・エル・ゲベル(中エジプト)などでも知られている。カンティニル出土動物遺体でユニークであったのは(アフリカに生息しない)ダマジカが出土していることである。メソポタミアから陸路輸入された可能性もあるがくヨーロッパ(ギリシア)から海路により輸入された可能性もある。その結果は、2007年8月に受理されたJournal of Egyptian Archaeology94に掲載予定である。
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Research Products
(1 results)