2009 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理シミュレーションによる炭素系物質の脱水素化特性の研究
Project/Area Number |
07J07486
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
坂本 晶子 (原田 晶子) National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ユビキタスエネルギー研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 水素 / グラファイト / ナノ構造 / 脱水素化 / シミュレーション / 分子動力学法 / 第一原理 |
Research Abstract |
ナノ構造化グラファイト、カーボンナノチューブなどの炭素系物質は水素貯蔵材料としての可能性が期待され、実験、理論両面から研究が行われている。このうち、グラファイトを水素雰囲気中でミリング処理して得られるナノ構造化グラファイトは、7.4重量%(CH_<0.95>)という多量の水素を吸蔵することが報告されており、水素貯蔵材料として有望な物質であるが、ナノ構造化グラファイト中に水素がどのように吸蔵および放出されるのか、そのミクロなメカニズムは明らかになっていない。そこで本研究では、これらの炭素系物質の脱水素化特性について調べるため第一原理分子動力学法を用いた計算機シミュレーションを行っている。 本年度は、水素を吸蔵したナノ構造化グラファイトのモデルとして、グラフェンのアームチェアエッジに-CH,-CH_2,-CH_3が結合したモデル系を構築し、第一原理分子動力学シミュレーションを行い、グラフェンエッジでの炭素、水素の結合状態とその温度変化について調べた。 その結果、系の温度を300K,600K,900K,2100Kと上げていくと、アームチェアエッジに-CH_3が結合した系では、温度2100KでC-Hの結合が切れ、水素原子はエッジの炭素原子と結合した。また、電子状態を解析し各原子間の共有結合性を調べると、300Kでは、-CH_3の炭素原子とエッジの炭素原子は反結合状態であるが、温度の上昇とともにこの反結合性が弱くなり、水素とエッジの炭素の間に結合ができた結果、共有結合性はほとんどなくなることが分かった。このように、高温でC-Hの結合が切れ,エッジの炭素原子との間に別のC-H結合ができる過程をシミュレーションし、その電子状態を明らかにした。さらにこれらの結果から、グラフェンエッジに結合した炭化水素分子の状態および高温でのC-H再結合の様子を明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)