2010 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理シミュレーションによる炭素系物質の脱水素化特性の研究
Project/Area Number |
07J07486
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
坂本 晶子 (原田 晶子) 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 水素 / グラファイト / ナノ構造 / 脱水素化 / シミュレーション / 分子動力学法 / 第一原理 |
Research Abstract |
ナノ構造化グラファイト、カーボンナノチューブなどの炭素系物質は水素貯蔵材料としての可能性が期待され、実験、理論両面から研究が行われている。このうち、グラファイトを水素雰囲気中でミリング処理して得られるナノ構造化グラファイトは、7.4重量%(CH_<0.95>)という多量の水素を吸蔵することが報告されており、水素貯蔵材料として有望な物質であるが、このナノ構造化グラファイト中に水素がどのように吸蔵および放出されるのか、そのミクロなメカニズムは明らかになっていない。そこで本研究では、これらの炭素系物質の脱水素化特性について調べるため、第一原理分子動力学法を用いた計算機シミュレーションを行っている。 本年度は、モデル系として、グラフェンのアームチェアエッジおよびグラフェン面上に水素原子が結合した系を構築し、第一原理分子動力学シミュレーションを行い、炭素-炭素および炭素-水素間の結合状態について調べた。その結果、グラフェンのエッジ付近の面上に水素が吸着している系では、吸着していない系に比べて炭素原子間の平均原子間距離が長くなり、炭素-炭素間の結合がより弱くなっていくことが分かった。また、吸着水素原子の存在により、エッジ付近ではグラフェン面は垂直方向に大きく歪み、炭素原子の6員環構造が崩れていく様子が見られた。一方、グラフェンレイヤーが多数重なったグラファイト系では、同じようにエッジ部分が歪んでいくが、レイヤー1枚の系よりも歪みは小さく、上下のレイヤーの存在により面に垂直な方向への運動が制限されていると考えられる。 これらの結果から、グラフェン系への水素原子の吸着によって、エッジ付近の結合が変化し弱くなって行く様子が分かった。これまでに得られた結果と合わせて、炭素系物質に吸蔵された水素の状態とその結合状態の変化についての統一的な理解を得ることができた。
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Research Products
(4 results)