2007 Fiscal Year Annual Research Report
Candidaフェノミクスによる抗真菌剤開発への展開
Project/Area Number |
07J07517
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
上野 圭吾 Chiba University, 医学薬学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 抗真菌剤の開発 / 蛋白質の立体構造に基づく薬剤設計(SBDD) / コンピューター支援型薬剤設計(CADD) / 遺伝子破壊 / DNA修復 / 非相同的末端再結合(NHEJ) / 相同組換え(HR) / 病原性真菌 |
Research Abstract |
国内で認可されている深在性真菌症の治療薬は、4系統8種類と少ないために、新しい抗真菌剤の開発が望まれてる。そこで我々は、「病原性真菌の病原性を解明すること」と「新規抗真菌剤を開発すること」を目標として以下の二つの研究を遂行したので、本年度の成果を報告する。 (1)DNA修復に関わる遺伝子の網羅的機能解析 本項目は、病原性を研究する上で意義があるだけでなく、新しいDNA修復システムの探索や抗真菌剤の標的蛋白質探索という別の重要な側面も含んでいる。 病原性真菌(Candia glabrat)のDNA修復システムを体系的に理解するために、二本鎖切断DNAの修復に関わる21遺伝子を選抜した。また、遺伝子破壊株や発現抑制株を合計55株構築した。さらに、取得した組換え体を用いて、表現型(生育速度、変異原に対する感受性、病原性因子の分泌)を観察し、各遺伝子の重要性や機能について多くの知を得た。特に今年度は、C.glabrataのDNA修復において、NHEJよりもHRやRecQヘリケースの経路が重要であることを明らかにした。我々の知る限り、病原性真菌においてDN修復に関する知見は少なく、体系的に解析した事例はないこから、上述の成果は重要な意義がある。 (2)コンピューターを活用した抗真菌リードペプチドの設計 本項目は、新しい抗真菌剤の開発に直結する可能性が高いことから、重要性がある。 本解析に着手するために、当研究室で実施されたCandidaフェノームプロジェクトに基づいて、5種類の標的蛋白質TP-1〜TP-5を選定し、それらの立体構造を予測した。次に、Peptidesign[富士通]を利用し阻害剤の設計を行った。今年度は、TP-1に結合する3種類のペプチドを設計・合成した。現在、これらペプチドの活性を評価するために、表面ラズモン共鳴法による相互作用解析を進めている。上述のように、標的蛋白質の分子情報を蓄積し、創薬研究の基盤整備できたことは本研究分野において意義深い。今後、設計した阻害剤が実際に効果を示せば、創薬研究において大な進展が期待できる。
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Research Products
(6 results)