2009 Fiscal Year Annual Research Report
Candidaフェノミクスによる抗真菌剤開発への展開
Project/Area Number |
07J07517
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
上野 圭吾 Chiba University, 真菌医学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 蛋白質の立体構造に基づく薬剤設計(SBDD) / コンピューター支援型薬剤設計(CADD) / 抗真菌剤 / 病原性真菌 / DNA修復システム(DNA repair) / 病原因子 / カイコ感染モデル / マウス腸管感染モデル |
Research Abstract |
国内で認可されている深在性真菌症の治療薬は、4系統8種類と少ない。そのため、新しい作用機序を持つ抗真菌剤の開発が待たれている。しかしながら、真菌がどのように感染し致命傷を与えるのか、その感染現象も不明な点が多く、薬剤開発の遅れを助長している。そこで本研究では、遺伝子操作が比較的容易なCandida glabrataをモデルとして、1)感染現象の一端を明らかにすること、2)その知見を元に抗真菌リード化合物を設計すること、以上2つを目的とした。 1)DNA修復に関わる遺伝子の機能解析 DNA修復システムは、相同組換え(HR)や非相同末端再結合(NHEJ)などの経路からなり、遺伝子情報を次の世代に正確に伝承するために不可欠なシステムである。また近年では接着因子などの病原因子の発現調節に関与することが指摘されていることから、感染現象の一翼を担っていると推定されている。 昨年度までに、特に重要と考えられた20個の遺伝子について1遺伝子破壊株,2遺伝子破壊株を体系的に作製し、in vitroアッセイ系における表現型を解析した。今年度は、それらの破壊株が実際にどの程度の感染性があるのかを動物実験により解析した。しかしながら、これまで、C.glabrataを使った感染実験系は十分に確立していなかったことから、先ずその実験系を構築した。今年度の研究で1)カイコ血液感染モデル2)マウス血液感染モデル3)マウス腸管感染モデルを構築することができた。さらにこれらの実験系を利用して、保有の破壊株ライブラリーを解析したところ、病原性が有意に低下する二つの変異体ΔIMI-3とΔIMI-4を同定した。 2)コンピューターを活用した抗真菌リード化合物の設計 本課題は、創薬研究における重要性に加えて、基礎研究と応用研究の連携を可能にする方法論としての重要性がある。 昨年度までに、先に同定されていた標的タンパク質Pfylをモデルとして、立体構造の予測方法、リガンドの設計方法、その評価方法を確立した。今年度は、それらの成果をまとめ査読付きの国際論文に発表した。さらに、国際学会でもその成果を報告し、当該研究領域に対して重要な情報を提供することができた。
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Research Products
(6 results)