2008 Fiscal Year Annual Research Report
四量体形成阻害によるトランスサイレチン変異体の小胞体局在化機構の解明
Project/Area Number |
07J07527
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐藤 卓史 Kumamoto University, 医学薬学研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP) / トランスサイレチン(TTR) / 小胞体局在化 / 小胞体分子シャペロン / BiP / 小胞体関連分解(ERAD) |
Research Abstract |
家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)の原因蛋白質であるトランスサイレチン(TTR)の四量体形成阻害により,TTR変異体を小胞体品質管理機構に認識させることが可能であることを見出した.そこで,その詳細な分子機構を理解するために,四量体形成阻害によるTTR変異体の小胞体局在化機構を解明することを目的とし,今年度は小胞体分子シャペロンの観点から検討を行った.各種TTR変異体および四量体形成を阻害する変異を導入したTTR(M-TTR)変異体と結合する小胞体分子シャペロンを免疫沈降法を用いて検討した.その結果,小胞体分子シャペロンであるBiPが小胞体局在化を受けるD18G TTRおよびAmyloidogenic M-TTR特異的に結合することが明らかになった.次に,TTRの小胞体局在化におけるBiPの機能をsiRNAを用いたノックダウン系により検討した.その結果,BiPと結合するD18G TTRおよびAmyloidogenic M-TTRの細胞外分泌量はBiP siRNAにより変化しなかったことから,BiPはこれらTTR変異体の小胞体局在化には関与しないことが明らかになった.一方興味深いことに,BiP siRNAは小胞体局在化を受けるD18G TTRおよびAmyloidogenic M-TTRの細胞内半減期を短縮させたことから,BiPはこれらTTR変異体の小胞体関連分解(ERAD)を負に制御することが明らかになった.BiPによるTTR変異体のERAD制御機構の詳細は現在解析中であるが,過去の知見では,BiPはミスフォールドタンパク質のERADを正に制御する報告しかないことから,本知見はERADにおけるBiPの新たな機能を明らかにした重要な知見である.
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