2007 Fiscal Year Annual Research Report
四量体形成阻害によるトランスサイレチン変異体の小胞体局在化機構の解明
Project/Area Number |
07J07527
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐藤 卓史 Kumamoto University, 大学院・薬学教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP) / Transthyretin(TTR) / 小胞体局在化 / coat protein complex II (COPII)小胞 / ER retrieval |
Research Abstract |
家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)の原因蛋白質であるTTRの四量体形成阻害により,TTR変異体を小胞体品質管理機構に認識させることが可能であることを見出した.そこで,その詳細な分子機構を理解するために,四量体形成阻害によるTTR変異体の小胞体局在化機構を解明することを目的とし,今年度はCOPII小胞による選別の観点から検討を行った.まず,四量体形成阻害によるTTR変異体の小胞体局在化にゴルジ体から小胞体への逆行輸送(ER retrieval)が関与するか否かを逆行輸送阻害剤であるBafilomycin A1を用いて検討した.免疫蛍光染色を行った結果,四量体形成を阻害したTTR変異体の小胞体局在化にはER retrievalが関与しないことが明らかになった.次に,四量体形成を阻害したTTR変異体のCOPII小胞への積荷障害が小胞体局在化の一因であるかをSarl-GTP変異体を用いて検討した.正常に分泌されるWT TTRやTTR変異体の細胞外分泌量はSarl-GTP変異体の共発現によりが減少したことから,TTRはCOPII小胞によってゴルジ体へ輸送されることが明らかになった.一方,四量体形成を阻害したTTR変異体の細胞外分泌量および細胞内発現量はSarl-GTP変異体の共発現によって変化しないことが明らかになった。したがって,四量体形成阻害によるTTR変異体の小胞体局在化にCOPII小胞への積荷障害が関与することが示唆された.また今年度は,本研究成果を基にした治療薬を開発するために用いるWT TTRとTTR変異体を共発現する細胞(ヘテロTTR発現モデル細胞)を作製した.以上,本知見は,TTR変異体の細胞外分泌抑制による新規FAP治療薬開発の治療標的を同定する上で重要な基礎的知見であり,作製したヘテロTTR発現モデル細胞は上記治療薬開発の有効な評価系として有望である.
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Research Products
(6 results)