2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境中における安定性の解明に向けた腐植物質の平均化学構造モデルの構築
Project/Area Number |
07J07530
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池谷 康祐 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 腐植酸 / 縮合芳香環 / 炭素網面 / 黒色度 / 腐植化度 / X線回折 |
Research Abstract |
日本の典型的な各種土壌(黒ホク土、褐色森林土等)から抽出・調製した腐植酸10点をX線回折(XRD)測定に共試し、走査範囲2θ=5-60゜(ii)および60-100゜(ii)のスペクトルをCarbon Analyzer DiHiGa Series2007(菱化システム)を用いて炭素網面(縮合芳香環)の(i)積層数分布,(ii)サイズの重量組成を解析し、腐植の酸の腐植化度(黒色度)、炭素官能基組成(^<13>CCPMASNMR)、およびルテニウム四酸化物酸化分解(RTO)生成物から推定した縮合芳香環含量との関係をそれぞれ調べた。)黒色度の最も高いA型腐植酸5点では002面(002バンド)に対応するブロードな回折線が25゜付近に見られ、最大積層数6〜10が推定された。黒色度が低い他の5点では、22゜付近を頂点とするブロードなピークが見られ(脂肪族側鎖部位に由来とされる)、最大積層数は3でA型腐植酸より小さかった。ii)80゜付近に肩状ピークが観測され、炭酸網面の二次元格子構造由来の11バンドによる回折線と推測された。その重量組成は、A型腐植酸では最大1.68nmの網面(ベンゼン環7個分の長さ)が0-4.1%、1.44nmの網面が5.2-9.5%存在したが、他の腐植酸では最大1.44nmの網面が0-3.5%しか存在しなかった。0.48(ピレン環)、0.72(コロネン環)nm等サイズが小さい網面の組成に試料間での差はなかった。11バンドの理論散乱強度曲線の相対面積値および炭素網面の重量組成から、サイズごとに網面含量を試料間で相対的に比較した。0.72、0.96、1.20nmの網面含量および全サイズでの合量は、黒色度および芳香族炭素含有率が大きいほど有意に大きかった。また、RTOから推定したコロネン環含量との関係も類似していた。本法によりコロネン環以上の縮合芳香環組成が推定できることが示唆された。
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Research Products
(2 results)