2007 Fiscal Year Annual Research Report
多項式方程式系の全ての解を求めるための数値計算手法に関する研究
Project/Area Number |
07J07546
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
水谷 友彦 Tokyo Institute of Technology, 大学院・情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ホモトピー法 / 多項式方程式系 / 多面体的ホモトピー関数 / 並列計算 |
Research Abstract |
研究の最終的な目的は、ホモトピー法を利用して、多項式方程式系の全ての解を計算し、かつ、重複度や次元をもつ解に対しては、その情報をも抽出する手法の確立である。ここで、ホモトピー法とは、有限個の解を持つn本のn変数多項式から構成される多項式方程式系に対して、その全ての孤立解を計算するため数値計算手法である。この手法は2つの段階から構成されている。一つは初期システムと呼ばれる解くことが容易な多項式系の構築、もう一つは初期システムを解き、その解を初期点として、目的とする多項式方程式系の孤立解に至るパスの追跡である。これまでに様々なホモトピー関数が提案されてきたが、特に、多面体的ホモトピー関数は生成するパスの本数が、他のホモトピー関数に比べて、一般的に少ないという利点がある。したがって、私は、主に多面体的ホモトピー法に関して研究を行っている。 パスを追跡する際、いくつかのパスが求めたい多項式方程式系の孤立解に収束せず、発散することが知られている。したがって、数値的な手法を用いて、パスの追跡を実行するとき、そのパスが孤立解に収束するか、発散するかを判定することは難しい。今期の研究実施計画として、この課題を克服するための課題を挙げた。 しかし、この課題は先行研究の成果を利用すると、克服できるという感触を得たので、今期は、1)ロボティクスの分野などで定式化される特徴的構造をもつ多項式方程式系の孤立解を計算するための多面体的ホモトピー関数の構築、2)大規模な多項式方程式系に対して、多面体的ホモトピー関数を構築するための並列アルゴリズムの開発、の2つの課題に取り組んだ。その結果、1)に関して、多項式方程式系が有する構造を利用することで、より効率的な手法の開発に成功した。2)に関して、並列アルゴリズムを開発し、そして、64個のCPUを用いることで、これまでには困難であろうと考えられてきた大規模な多項式方程式系に対しても、多面体的ホモトピー関数の構築に成功した。
|
Research Products
(5 results)