2009 Fiscal Year Annual Research Report
Paulinella chromatophoraのシアネレに関する研究
Project/Area Number |
07J07571
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中山 卓郎 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 葉緑体獲得 / オルガネラ化 / 細胞内共生 / 一次共生 / 発現解析 / 原生生物 / 藻類 / シアノバクテリア |
Research Abstract |
Paulinella chromatophoraのシアネレと宿主細胞の共生関係を探ることにおいて不可欠なのは、シアネレから宿主細胞核への遺伝子伝播の有無の検証である。その目的のため本年度においても昨年度に引き続き、シアネレから宿主核への転移したと思われるpsaE, psaI, HLIP遺伝子について詳細に調べた。 psaIに関して、近年解読された2つの培養株のシアネレゲノムをしたところ、EST解析を行った株においてはpsaI遺伝子が不活性化しているのに対し、もう1方のシアネレゲノムにはほぼ完全な状態でコードされており、psaIの核への転移がごく最近起きた可能性が示された。 今年度までにP.chromafophoraのESTデータベースの中から12のHLIP遺伝子に相同性を示す配列が発見された。さらにそれら12配列には多様性が見られ、宿主核には複数のHLIP遺伝子のコピーが存在することが示唆された。これら12の配列を一次構造で分類すると少なくとも2つのタイプが存在することが明らかとなった(それぞれType 1およびType 2とする)。これら2つのタイプを近縁な自由生活性シアノバクテリア(Syechococcus sp.WH5703)のHLIP遺伝子と比較した結果、シアノバクテリアにもType 1,Type 2に分類できるHLIP遺伝子が認められた。このことは、P.chromatophoraで見つかったこれら2タイプのHLIP遺伝子が、それぞれ独立にシアネレから宿主核へ転移したことを示唆している。複数回の遺伝子転移を起こしていることを加味するとHLIPが細胞内共生関係において重要な役割を果たしている可能性も考えられる。
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Research Products
(4 results)