2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J07593
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
筒井 直昭 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 甲殻類 / クルマエビ / 卵黄形成 / ホルモン |
Research Abstract |
本研究課題では、生体調節因子によるクルマエビの卵黄形成制御機構の解明を目的としている。本年度はCHH族ペプチドの1つであるPej-SGP-Iの立体構造をX線結晶構造解析によって明らかにし、ペプチドの構造と卵黄形成抑制活性との相関を明らかにすることを試みた。Pej-SGP-Iに含まれる疎水性アミノ酸残基をメチオニン残基に改変したペプチドを作製し、卵黄形成抑制活性と円二色性スペクトルを測定した。その結果N末端側から16番目のロイシンをメチオニンに変更しても元のペプチドと同様の構造や活性が維持されることが明らかとなった。そこでセレノメチル化した改変ペプチドを大量に調製し、結晶化実験に供した。得られた結晶を用いてSPring-8またはPhoton FactoryにおいてX線回折データを取得し、単波長異常分散法により構造解析を行った。その結果、74残基中15から60残基目までについての構造情報を与えるに十分な電子密度が得られた。その一方で、N末端側とC末端側のそれぞれ約15残基についてはそれらに相当する電子密度が得られなかった。このことを改善するため結晶化条件の最適化と新たな結晶化条件の探索を現在行っている。以上の結果の一部について2009年度日本水産学会春季大会にて報告した。 血リンパ中に含まれる卵黄形成抑制活性の解析については、昨年度までの研究でこの活性はCHH族ペプチドによるものである可能性が示唆されていた。このことを確かめるため、HPLCを用いて血リンパを細かく分画し、既知の7種類のCHH族ペプチドが溶出される画分とそれ以外の画分とに分けて卵黄形成抑制活性を調べた。その結果、CHH族ペプチドが溶出される画分以外に活性が検出された画分があることが分った。この活性の精製を試みたが含量が少ないために活性物質の単離には至っていない。今後は出発材料を大幅に増やすことや、産生部位が明らかにして精製の効率を上げるなどの工夫が必要と考えられる。
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Research Products
(2 results)