2007 Fiscal Year Annual Research Report
共生藻類の環境応答センサーの有用作物への導入と展開
Project/Area Number |
07J07594
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
角野 貴志 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物生理 / 活性酸素種 / カルシウムシグナリング / 環境応答 |
Research Abstract |
本研究では、モデル作物Micro-Tomを用いて環境ストレス下での遺伝子発現とカルシウムイオン(Ca^<2+>)、及び活性酸素種(ROS)の環境適応誘導因子としての相関を解明することで環境ストレス下における安定した作物の栽培を目的とする。まず、塩ストレスにおけるROS及びCa^<2+>の効果について解析を行った。Micro-Tom由来の培養細胞に対してNaClによる塩ストレス処理を行ったところ、濃度及び時間依存的に細胞死が増加した。細胞死を指標にし、塩ストレス前にROS除去剤、Ca^<2+>キレーター及びCaCl_2の各処理を行うと、すべての処理においてNaCl誘導の細胞死が増加した。他の研究からROSは応答遺伝子安定化の関与が示唆されており、本研究においてもROSの重要性が示唆された。一方、Ca^<2+>は塩ストレス緩和効果があることが知られているが、本研究では逆に細胞死を増加する結果となった。今後さらに塩ストレス下でのROSとCa^<2+>の適応因子としての役割について解析を行う。塩ストレスに応答し発現する遺伝子として、トレハロース生合成関連遺伝子が知られており、トレハロースは緑藻やシアノバクテリアにおいて盛んに合成され、環境ストレス緩和効果を持つが、高等植物においてはその役割は不明である。Micro-Tomにおけるトレハロース生合成関連遺伝子の発現解析を行ったところ、生合成関連遺伝子群に恒常的に発現する遺伝子と、特定の時期及び器官において発現する遺伝子が確認された。しかし、環境ストレス下における誘導メカニズムに関しては不明であり、詳細な解析を行いたい。また、本研究によってトレハロースには酸化ストレスを伴う環境ストレスに対して緩和効果を持つことが示された。植物においてアルミニウムはROS生成を介して細胞死を誘導するが、トレハロースはROS生成と細胞死を抑制することが明らかとなった。
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Research Products
(19 results)