2008 Fiscal Year Annual Research Report
共生藻類の環境応答センサーの有用作物への導入と展開
Project/Area Number |
07J07594
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
角野 貴志 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物生理 / 活性酸素種 / カルシウムシグナリング / 環境応答 |
Research Abstract |
本研究ではモデル作物であるトマト矮性品種を用いて、カルシウムイオン(Ca^<2+>、及び活性酸素種(ROS)の環境適応誘導因子としての役割を解明することで環境ストレス下における安定した作物栽培を目的とする。Ca^<2+>の役割について、トマトの近縁であるタバコ細胞を用いて解析を行った。タバコ細胞には細胞質Ca^<2+>濃度変化の解析のためにCa^<2+>感受性タンパク質エクオリンの遺伝子が導入されている。NaClによる塩ストレス、及び浸透圧増加の対照としてソルビトールを用いた。NaCl処理では処理直後に急速ではあるが、極めて微量のROS生成が確認された。一方、ソルビトール処理では、処理直後に急速かつ多量のROS生成が確認された。これらの処理によって生成される急速なROS生成は、細胞質Ca^<2+>濃度変化を誘導することが明らかとなった。さらにNaClおよびソルビトール処理による細胞死を指標にROS除去剤、Ca^<2+>キレーターを用いて、ROSとCa^<2+>の役割について解析を行った。ROS除去剤を用いた結果、NaCl処理で生成される一重項酸素は塩ストレス緩和に働き、スーパーオキシド(O_2^-)は細胞死を誘導することが明らかとなった。O_2^-除去剤の効果は、トマトを用いて得られた結果と異なる。一方、ソルビトール処理ではROS除去剤の効果は見られなかった。また、両処理誘導の細胞死においてCa^<2+>キレーターの影響が見られなかったことから、細胞質Ca^<2+>濃度変化は適応因子でないことが示唆された。これらのことより環境ストレスにより誘導生成されるROSの種類の違い及び役割の違いが示唆され、また植物種によってもその役割が異なることが示唆された。その他の環境ストレスとして、トマトを用いて高温応答に関する研究を行った。致死に至らない高温処理誘導のROS生成が熱応答転写因子の転写レベルを上昇する結果が得られた。
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Research Products
(8 results)