2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J07635
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 一弘 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 認識論 / 確率の哲学 / ヒューム / ラムジー / 主観的確率 / ベイズ主義 / ベイジアンネットワーク |
Research Abstract |
20年度は、(1)ラムジーの主観的確率、(2)ヒュームの確率論(蓋然的信念論)を中心に研究を進めた。(1)については、ラムジーの主要論文Truth and Probabilityを中心に、彼が自身の主観的確率概念を導出する意図と理路とを検討した。本研究では、ラムジーが部分的信念の「整合性の論理」を論じる過程で、ケインズの「確率関係の知覚可能性」だけでなくヒュームの「信念の度合いの知覚可能性」を明示的に批判した上で、彼が「信念の度合いに数を付値する純粋に心理学的な方法」を操作主義的に打ち立てた点に特に着目した。(2)のヒューム確率論研究については、奇蹟論を含めた関連トピックを扱うに先立ち、知性論(『人間本性論』第1巻)の構造を整理し直すことに主眼を置いた。というのも、第3部の信念論における「哲学的」/「非哲学的」蓋然性の区別や、「知性的」/「想像的」一般規則の区別は、蓋然性を「信念の活気の度合い」と見なす彼の確率論がどのような意味で規範性をもちうるかを考察する上で重要な端緒となるが、他方で、そうした区別は、第一巻第四部で提示されるヒュームの懐疑論によって全面的に無効化されてしまっているように思われるからである。そこで、第3部信念論における一般規則の概念と、第4部の懐疑論およびその帰結として知性論末尾で提示される「(理性と想像力をめぐる)極めて危険なジレンマ」との関わりをテキストに即して論じ、「ヒュームの知性論における「極めて危険なジレンマ」について」と題して日本イギリス哲学会第33回研究大会において発表した。またこの他、ベイジアンネットワークと確率の解釈に関するサーヴェイ論文(掲載済)、および応用哲学のトピックに関するサーヴェイ論文(共著、投稿済)を執筆し、I.Hacking著,Historical Ontologyの翻訳を進めた。
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Research Products
(2 results)