2007 Fiscal Year Annual Research Report
台湾領有初期における植民地教育のプロトタイプ形成過程の研究
Project/Area Number |
07J07643
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 和行 Kyoto University, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 日本教育史 / 植民地教育史 / 台湾教育史 / 国家教育社 / 台湾総督府 / 教育勅語 / 公文類簒 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
(1)1895年に日本の植民地となった台湾における教育政策において、統治開始当初から教育勅語の台湾への導入が図られた。1890年10月に発布された教育勅語が台湾に導入されたことは一見すると自明のことのように思われる。しかし実際には、この当時の日本「内地」においてさえ教育勅語は未だ不安定な地位に置かれており、台湾への教育勅語導入は決して自明のことではなかったと考えられる。したがって、なぜ1895年の台湾統治開始当初から教育勅語の導入が図られたのかが解明されねばならない。天理台湾学会第17回研究大会の発表では、1897年2月に台湾で発布された漢訳教育勅語を中心に、1890年に全国規模の教育団体として結成された国家教育社の活動方針との関連から台湾への教育勅語導入の要因を指摘した。 (2)また、台湾への教育勅語導入政策について、これまでの研究では史料上の制約もあり、どのような経緯で台湾へ教育勅語が導入されたのかについての具体的事実が明らかにされてこなかった。この点については、台湾の国史館台湾文献館所蔵『台湾総督府公文類纂』所収の史料を調査した。この史料調査の成果に基づき、教育史学会第51回大会の発表では教育勅語の導入が1895年の統治開始当初から企図され、学校儀式などを通じた教育勅語の浸透が図られていたことを指摘した。 (3)以上の2つの研究成果は、日本の植民地教育政策を日本「内地」と植民地双方の連関構造に基づいて再考しようとする試みである。第6回京都大学大学院教育学研究科国際シンポジウム・日中教育学系合同シンポジウム2007、および同シンポジウムの報告書において、こうした研究課題についてのアウトラインを明確にした。
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Research Products
(5 results)