2007 Fiscal Year Annual Research Report
後周期遷移金属触媒による窒素-水素結合活性化を基軸とした効率的分子変換反応の開発
Project/Area Number |
07J07649
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仁科 直子 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 後周期遷移金属触媒 / 窒素-水素結合活性化 / 窒素求核剤 / アミノ化反応 |
Research Abstract |
触媒反応は、副生成物排出の少ない原子効率的・環境調和的な面から、有機合成の分野において重要なプロセスとして位置づけることができる。触媒として金属を用いることにより、従来から反応障壁の一因とされていた静電反発などの軽減および新規反応経路の発見が期待される。そこで、金属触媒として後周期遷移金属に属する「金」に着目し、研究を行った。本研究により、金錯体が触媒として作用する反応の機構解明、およびそれを足がかりとする反応開発において成果をあげることができた。 金錯体の触媒としての作用機序について情報の得られるような反応系を設計することで、新たな知見を得ることに成功した。以前の投稿論文の反応機構について議論が起こったため、まず確認実験を行った。その結果、我々が提唱した反応機構を強く指示する結果を得ることができた。この議論を通して分子間反応における金触媒の作用機序について、詳しい知見が得られた点が非常に意義深い。 また、これまでの研究により、金上の配位子の効果が分子間反応と分子内反応とで異なって発現することがわかっていた。その知見をふまえた上で、金上の配位子の効果について電子的・立体的両面から詳細に検討し、触媒反応(特に分子間反応)における金の反応特性について解明した。ここでは電子求引性配位子や電子供与性配位子、嵩高い配位子を有する金錯体をそれぞれ合成し、比較を行った。新規錯体についてはX線構造解析により構造確認を行った。錯体の反応性についてアミノ化反応を用いて比較を行ったところ、アミンのような求核性の強い化合物を反応基質として用いた場合には、電子的効果ではなく立体効果が反応促進に有効であることが明らかとなった。この結果を用い、従来難しいとされていた脂肪族アミンを用いた反応の開発に成功した。また、配位子効果の比較結果から、反応機構の重要な段階について知見を得ることができた。
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Research Products
(4 results)