2008 Fiscal Year Annual Research Report
階層構造を持つ高分子複合体系におけるエネルギー論の構築
Project/Area Number |
07J07662
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
義永 那津人 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ソフトマター物理学 / 非平衡統計物理 / 生物物理 |
Research Abstract |
2008年度は、以下の二点について注目して研究を行った。 1.一分子内に不均一性をもつ高分子の吸着・脱着相転移 生体高分子の多くは多種のモノマーから構成されていて、その配列が分子全体の構造と強い相関を持つことが知られている。ここでは、特定の高分子の特定の配列に注目するのではなく、統計的に特徴付けられた配列やそれに伴う不均一性が分子全体の構造に及ぼす影響について調べた。具体的には、親水性と疎水性との二状態の間を確率的に遷移するモノマーからなる二状態高分子の吸着について理論的に調べ、シミュレーションとの比較を行った。その結果、実効的な吸着エネルギーを定義することによって、不均一高分子の吸着の問題を一様高分子の問題に置き換えることができることが可能であることを示すことができた。 2.高分子の動力学:凝縮・脱凝縮相転移と閉じ込めからの脱出について 生体内では、高分子であるDNAやRNAが閉じ込められた環境から抜け出すことが生体機能に深くかかわっていることが知られているが、なぜ抜け出すのか、あるいは、どのように抜け出すのか、についてはいまだに不明である。ここでは、閉じ込められた高分子を一般的に記述する非線形微分方程式を導出し、いくつかの具体的な状況に対して近似的な解析解を求めた。本研究により、一見矛盾した過去のシミュレーション結果を統一的に理解できることが分かった。
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Research Products
(5 results)