2008 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染を利用した高次脳機能障害の分子機序の解明
Project/Area Number |
07J07682
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本田 知之 Osaka University, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ボルナ病ウイルス / 精神疾患 / グリア細胞 |
Research Abstract |
精神疾患は躁鬱病や統合失調症などに代表される高次脳機能障害である。多くの精神疾患では、その症機序として「脆弱性-ストレス」モデルが提唱されている。私どもの研室では、脆弱性もしくはストレスによる高次脳機能障害の要因としてボルナ病ウイルス(BDV)を報告してきた。BDVは、中枢神経系に持続感染するRNAウイルスである。BDVを感染させたラットは、自閉症様の行動異常を示すことが知られている。本研究では、BDV感染がどのように脳高次機能障害の脆弱性に関与するかを明らかにすることで、精神疾患の発症脆弱性の分子機序の解明を明らかにすることを目的とする。本年度の研究において、BDV感染による高次脳機能障害について以下の結果を得た。 BDVの病原性に重要な働きをすると考えられるリン酸化タンパク質Pを発現する細胞で変化する遺伝子群をマイクロアレイ解析にて検討した。その結果、細胞外に分泌される遺伝子群において変化を認めた。 小脳の培養により、Pを発現させたグリア細胞で認められた神経生存障害を改善する薬剤を見出した。 BDV抵抗性のマウスに対してBDV He80株を馴化させることで、マウス実験に用いることができるBDV HOT6株を作製した。 P結合タンパク質とレてマウス脳由来の遺伝子ライブラリーより同定したscaffold attachment factor B2をクローニングし、ほ乳類細胞にてPとの結合を碓認した。 BDVレセプターを同定するため、BDVの膜タンパク質GとヒトIgGとのキメラタンパクを作製した。このメラタンパク質と結合するタンパク質を複数分離した。分離した蛋白質をコードする遺伝子をクローニングし、Gとの結合を確認した。またそれらの蛋白質が、細胞表面に存在することをFACSにて明らかにした。
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Research Products
(7 results)