2008 Fiscal Year Annual Research Report
化学気相析出法を用いたチタン酸カルシウム及びリン酸カルシウム被覆とその生体適合性
Project/Area Number |
07J07689
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 充孝 Tohoku University, 金属材料研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 有機金属化学気相析出法 / ハイドロキシアパタイト / リン酸三カルシウム / 表面形態 / 骨伝導能 |
Research Abstract |
有機金属化学気相析出(MOCVD)法を用いTi(o-i-Pr)(dpm)_2、Ca(dpm)_2および(C_6H_5O)_3PO有機金属錯体により、チタン酸カルシウム-リン酸カルシウム傾斜組成膜を、レーザーCVD法によりリン酸カルシウム系膜を合成し、XRDによる相同定、SEMによる微細組織の観察および成膜速度の測定、擬似体液中への浸漬実験により、リン酸カルシウム膜上へのアパタイト形成の様子を調べた。 ガラス基板およびCP-Ti基板上に合成したCa-Ti-O/Ca-P-O傾斜組成膜はガラスおよびCP-Ti基板いずれにおいても、CaTiO_3,HApおよび少量のα-TCPの回折ピークが観察され、傾斜構造を有していることが示唆された。また、傾斜組成膜の表面は粒径が1μm程度の粒状の結晶であり、断面は微粒子層→柱状晶層→緻密層からなる傾斜構造を有していた。基板近傍における微粒子層および柱状晶の領域は、CaTiO_3膜でのみ観察された構造であることから、Ca-Ti-O/Ca-P-O傾斜組成膜が合成されたと考えられる。また、表面部分は、X線回折の結果から、HApとα-TCPの混合層であることが考えられ、α-TCPの高い溶解性がHApのアパタイト形成をさらに促進させる駆動力となることが期待される。 レーザーCVD法により合成したHAp膜の表面微細組織は、粒径が1μm程度の粒状結晶を有し、断面はいずれの成膜条件においても緻密な柱状晶であった。また、合成条件を変化させることにより、結晶配向か(300)および(002)へと変化した。さらに、擬似体液中への浸漬実験から、(300)配向した膜は浸漬12h後で粒径が10nm程度のアパタイトの粒子で表面全体が覆われた。一方、(002)配向したHAp膜は浸漬6h後には表面全体が10nm程度のアパタイトで覆われ、レーザーCVD法は生体セラミックス膜の合成法として有用であることが明らかとなった。
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Research Products
(10 results)