2008 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸を基幹物質とするイオン液体の作成と物理化学的性質の改善
Project/Area Number |
07J07717
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
鍵本 純子 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオン液体 / アミノ酸 / オスホニウムカチオン / ゲル / コロイド / 疎水性イオン液体 |
Research Abstract |
イオン液体はイオンのみからなる液体であり、難燃性、難揮発性、高イオン密度などの特徴的な性質を持つことから、従来の揮発性の有機溶媒とはまったく異なる新規な溶媒として注目を集めている。申請者はアミノ酸をアニオンに有するアミノ酸イオン液体に注目した。アミノ酸イオン液体は天然由来であることから低毒性であることが期待されるだけではなく、アミノ酸の側鎖構造に様々な機能席を導入することが可能であり、また従来のアニオンとはイオン液体を形成しづらかったカチオンと組み合わせることで物性の良好なイオン液体を形成することも報告している。本研究ではアミノ酸イオン液体の構造と物性の相関を明らかにするとともに、目的用途に応じた機能を持つイオン液体の設計指針の確立を目指している。本年度は、1)疎水性アミノ酸イオン液体の開発、2)低分子のみからなる物理ゲルの作製を試みた。 1)ホスホニウムカチオンに長鎖アルキル鎖を導入し、アミノ酸イオン液体への疎水性の付与を試みた。その結果、アルキル鎖6以上([P_<6666>])の場合に、水と相分離する疎水性のアミノ酸イオン液体となった。これまで報告されている疎水性イオン液体は水よりも密度が重く、イオン液体が下相となる水/イオン液体2相系であったが、この疎水性アミノ酸イオン液体は密度が1g/cm^<-1>以下となり、水を添加した際にイオン液体が上相、水相が下相となるこれまでに報告のない新規イオン液体/水2相系となり、新規分離・抽出溶媒や液体のシーリング剤等への応用が期待される。 2)室温で液体である2種のイオン液体([P_<4444>][amino acid]と[bmim][Tf_2N])を混合するのみで、サーモトピックな物理ゲルを得ることに成功した。このゲル化は、混合系中における分散粒子の存在によるものであると考察され、イオン液体2種混合系において、分散コロイドを形成している例はこれまでになく、新規な現象としても注目を集めている。
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