2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J07723
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 路子 Kyushu University, 農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 衛星細胞 / マトリックスメタロプロテイナーゼ / 肝細胞増殖因子 |
Research Abstract |
骨格筋衛星細胞は筋線維の肥大・再生に関与する幹細胞である。前年度までに、伸展刺激により誘導される衛星細胞の活性化機構にマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)が関与していることを解明したが、関与するMMPsのサブタイプやその機構は不明であった。本年度は、衛星細胞への伸展刺激および30μM SNP(NO供与剤)処理を行うと、不活性型MMP2が活性型に変化することを確認した。また、不活性型MMP2(40μg/ml)を1μM Noc-7(NO供与剤)で処理すると活性型MMP2に変化した。Noc7で処理したMMP2を衛星細胞に添加すると、培養上清中への肝細胞増殖因子(HGF)の遊離が起こり、衛星細胞の活性化率もMMP2濃度依存的に上昇した。以上より、衛星細胞への伸展刺激により発生するNOの作用でMMP2が活性化され、その結果細胞外マトリックスかHGFが游離し、細胞の活性化が誘導されるという制御機構が解明された。 衛星細胞の休止化に関しては、衛星細胞に2.5-10ng/mlのHGFを添加すると細胞の活性化が促進されるのに対し、50ng/ml以上添加すると逆に休止化すること、高濃度(500ng/ml)のHGF処理によって衛星細胞の休止化誘導因子であるマイオスタチン(MSTN)の発現が誘導されることを前年度までに確認していた。本年度は、500ng/mlのHGFを添加し続けることにより衛星細胞は休止状態に保たれ、その状態の細胞に2.5ng/mlのHGFを添加すると再び活性化することをつきとめた。また、中和抗体を用いてMSTN活性を阻害すると、高濃度HGF添加による衛星細胞の休止化誘導がキャンセルされた。以上より、衛星細胞周辺のHGFが高濃度に達するとMSTNの発現・分泌が誘導され、その結果細胞は休止化するというHGF濃度依存的な衛星細胞休止化機構の存在が示唆された。
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Research Products
(6 results)