2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J07723
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 路子 Kyushu University, 農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 衛星細胞 / ニューロピリン-1 / マイオスタチン / 幹細胞増殖因子 |
Research Abstract |
衛星細胞は骨格筋線維の肥大・再生に密接に関与する幹細胞であり、通常は細胞周期から逸脱した休止期に保持されている。骨格筋が運動刺激や損傷を受けると衛星細胞が活性化されて細胞周期に復帰し、増殖・分化を経て筋線維へ融合することによって、筋線維の修復や肥大が起こる。また、増殖した衛星細胞の一部は、次回の刺激に備えて再び休止化する。従って、衛星細胞の活性化および休止化は筋肥大・再生の根幹であり、この分子機構を解明し、これを人為的に制御することは重要な研究課題の一つである。本研究では、衛星細胞の休止化メカニズムの解明を目指している。 前年度までの研究により、衛星細胞の休止化因子であるマイオスタチン(MSTN)の発現は、細胞周辺の肝細胞増殖因子(HGF)濃度に依存することが明らかとなっている。即ち、低濃度HGF条件下では衛星細胞は活性化し、HGF濃度が高濃度に達すると逆に休止化することから、活性化を担うHGF高親和性受容体c-metとは別に、未知のHGF低親和性受容体の存在が示唆される。本研究では、このHGF低親和性受容体の候補としてニューロピリン-1(Npn-1)に着目した。 衛星細胞に高濃度(500ng/ml)のHGFを添加するとMSTNの発現が誘導されて細胞は休止化するが、抗Npn-1中和抗体を添加するとMSTNの発現は誘導されず、その結果、衛星細胞の休止化も起こらなかった。衛星細胞におけるNpn-1の発現はRT-PCRおよびウェスタンブロッティングにより確認された。また、細胞溶解物を抗Npn-1抗体による免疫沈降に供試したところ、Npn-1はHGFと結合した状態で衛星細胞表面に存在していることが確認された。以上の結果より、Npn-1はHGF低親和性受容体の有力な候補であり、MSTN依存的な衛星細胞の休止化機構に関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)