2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J07723
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 路子 Kyushu University, 農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 衛星細胞 / ニューロピリン-1 / マイオスタチン / 肝細胞増殖因子 |
Research Abstract |
骨格筋の幹細胞である衛星細胞は、通常は細胞周期から逸脱した休止期に保持されている。骨格筋が運動刺激や損傷を受けると衛星細胞が活性化されて細胞周期に復帰し、増殖・分化を経て筋線維へ融合することによって、筋線維の修復や肥大が起こる。また、増殖した衛星細胞の一部は、次回の刺激に備えて再び休止化する。従って、衛星細胞の活性化および休止化は筋肥大・再生の根幹であり、この分子機構を解明し、人為的に制御することは重要な研究課題の一つである。本研究では、衛星細胞の休止化機構の解明を目指している。 前年度までに、高濃度(500ng/ml)の肝細胞増殖因子(HGF)を衛星細胞に添加すると、衛星細胞の休止化因子であるマイオスタチン(MSTN)の発現が誘導され、細胞は休止化することが明らかとなっている。しかし、500ng/mlというHGF濃度は、生理学的に起こりうる濃度範囲から逸脱している可能性も考えられる。そこで、MSTNの発現に必要なHGF濃度の特定を試みた。また、衛星細胞の休止化を担う未知のHGF受容体が存在すると予測し、本研究では、Npn-1という受容体タンパク質に着目した。 様々な濃度のHGFを衛星細胞に添加し、MSTNの発現を検討したところ、MSTNの発現誘導に必要なHGF濃度は10-50ng/ml程度であることが分かった。また、高濃度HGFにより誘導される衛星細胞の休止化は、Npn-1抗体濃度依存的に阻害され、MSTNの発現誘導もキャンセルされた。さらに、Npn-1と相互作用するタンパク質を回収するため、細胞溶解物をNpn-1抗体による免疫沈降に供試したところ、複数のタンパク質がNpn-1と供沈することが確認された。これら供沈タンパク質の中にHGFが含まれていることも判明した。従って、Npn-1がHGF受容体としてMSTN依存的な衛星細胞の休止化に関与していることが示唆された。
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Research Products
(8 results)