2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J07744
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有田 親史 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非対称単純排他過程 / 厳密解 |
Research Abstract |
格子上の確率過程である多成分の非対称単純排他過程(ASEP)を用いて非平衡系の厳密解析を行った。ASEPでは各サイト高々1つの粒子で占有され、粒子は最近接問で粒子がホップまたは交換するものとし、確率分布の時間発展はマスター方程式(時間微分=マルコフ行列の作用)に従うものとする。 1.開放境界条件下で各サイトにおいて粒子の脱着を許したASEPの定常状態が各サイトのウェイトの積で書けるための必要十分条件を示した。またウェイトは脱着の遷移率から構成される行列の行列式で与えられることを示した。(研究会「非線形波動研究の歩みと展望」発表、雑誌Journal of Physics A投稿中) 2.周期境界条件下の次のような多成分ASEPの固有値の性質について調べた。各サイトの状態は任意のN状態とし、粒子の種類を1からNの自然数でラベルする。異なる粒子xとyが最近接サイトで出会ったら、x>yの場合、遷移率p,x<yの場合、遷移率qで場所を交換するものとする。このモデルの一般の固有値および固有ベクトルはBethe仮説法によって厳密に求められることが知られていた。またこのモデルでは各種類の粒子の数は保存するため、マルコフ行列は可約であり各種類の粒子の数で指定されるセクターの直和に分解される。真空状態をうまく選びまたBethe根の特殊化をすることによって異なるセクター間に固有値の集合の包含関係があることを示した。また緩和時間ひ強く寄与する固有値たちは1成分のASEPのそれと一致することを数値計算によって予想した。したがって多成分のASEPにおいても緩和時間はp≠qのときサイト数の3/2乗、p=qのときサイト数の2乗に比例することが示唆される。(「日本物理学会第63回年次大会」発表)
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