2008 Fiscal Year Annual Research Report
単語の処理における無意識的処理過程と意識的処理過程の神経基盤の解明
Project/Area Number |
07J07747
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
松本 敦 National Institute for Physiological Sciences, 大脳皮質機能研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 意識 / 無意識 / fMRI / 漢字 / かな |
Research Abstract |
本年度の研究では,無意識的な単語の処理時には左半球の紡錘状回,上側頭回,補足運動野などの活動がみられることを明らかにした.これらの活動は,注意喚起刺激によって注意を喚起した際には観察されたが,注意を喚起しなかった条件では観察されなかった.また,脳の領域間の情報の流れを検討するためにdynamic causal modelingによるeffective connectivity解析を行ったところ,注意喚起条件では左半球の上側頭回に対して左半球の下前頭回から活動のmodulationがあることが明らかとなった.このことから,注意を喚起することにより,下前頭回から側頭葉に対して何らかの情報の伝達があり,その領域が活動しやすいように活動が調節されると考えられる.また,単語の意味処理において漢字とかな(ひらがな)では意識的処理,無意識的処理において処理システムが異なるのかどうかを意味プライミング課題を用いて検討した.意味プライミングは意味的に関連する語が直前に呈示されるとターゲット語の処理が促進されるという現象である.実験の結果,漢字の無意識的処理ではプライミングの効果は左の後側頭葉に見られた.かなの無意識的処理は漢字と比べて前方の側頭葉に見られ,漢字とかなでは異なる意味処理システムが存在する可能性が示唆された.また意識的処理においても両者は異なる活動パターンを示し,意識的処理も異なるシステムによって支えられている可能性が示された.
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Research Products
(2 results)