2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ非球面光学素子創成のための超精密切削工具の創成
Project/Area Number |
07J07757
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
國枝 泰博 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ダイヤモンド研磨 / 超精密ダイヤモンド切削工具 / ナノ精度機械加工 / 研磨熱 / ヘルツ接触理論 / マルチフィジックスFEMシミュレーション |
Research Abstract |
一般的にダイヤモンドの研磨は,ダイヤモンドスラリを塗布した鋳鉄製の研磨板を回転させたものにダイヤモンドを押し付けて行われる.世の中で最も硬いとされるダイヤモンドの研磨加工は,他の研磨加工と比較して加工能率が低く,加工量が微小となる.一般的に切込み量すなわちダイヤモンドを研磨板に押込む量と加工量が同等であると理想的に加工状態を制御できる.加工量に対して切込み量が大きくなると加工量が増大し続け加工状態を制御することが困難となる.加工量が微小であるダイヤモンドをミクロンオーダの制御で研磨加工すると過大な切込み量になり加工力が急増し制御不能となる.そこで昨年度は,切込み量をナノオーダで制御すること,またそれに伴い必要となった周辺技術である分散させたスラリを定量的に研磨板に塗布する方法,研磨板の平面度,材質,表面状態を検討したことでダイヤモンドの研磨状態を安定させることに成功した.しかし,長時間研磨加工を行っていると突然研磨力が増大する問題が生じた.本研究では,研磨力の増大は研磨熱によって生じる熱膨張によるものと考えた.しかし,局所的に発する研磨熱の分布を測定することは困難である.そこで,今年度はヘルツ接触理論を元に研磨状態のモデル化を行い,熱伝導解析と構造解析を連成させたマルチフィジックスFEMシミュレーションによりダイヤモンド研磨加工の解析を行い,研磨熱および研磨力を推定した.その解析の結果,研磨力の増大は研磨熱が起因していることがわかった.また,ダイヤモンド研磨加工における研磨条件の最適化の指針が得られたことや砥粒の磨耗を考慮する重要性がわかった.これにより新たなダイヤモンド研磨方法を提案できる可能性が広がったことから意義ある結果であった.
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Research Products
(1 results)