2009 Fiscal Year Annual Research Report
セイヨウミツバチの視覚情報処理に関わる神経回路の可視化と分業間での比較
Project/Area Number |
07J07791
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 九美 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 社会性昆虫 / 視覚中枢 / キノコ体 / 遺伝子発現 / futsch / tau |
Research Abstract |
これまでに同定した視葉選択的な遺伝子の候補のうちFutsch、tau、アレスチンドメインを含む新規遺伝子の3つを詳細に解析することで、視葉に加えキノコ体(高次中枢)において新規な脳構造を同定した。 FutschとTauは視葉の単極細胞で強く発現することを示している。ショウジョウバエではこれらが発生過程の神経回路形成に関わることが知られるが、ミツバチでも同様の機能をもつか推測するため、蛹の脳での発現解析を行った。その結果、キノコ体で分化直後の細胞で、tauが発現することがわかった。したがって、Tauはミツバチにおいても発生過程で軸索の伸長や構造維持に関与する可能性が示唆された。そして、アレスチンドメインを含む新規遺伝子は、視葉全体とキノコ体の一部で発現することを示している。特にキノコ体の発現は、既知の2層構造(大型、小型細胞)と異なるユニークなパターンだった。そこで発現細胞を特定するため、二重in situハイブリダイゼーション法により、既知遺伝子(CaMKII(リン酸化酵素):大型細胞選択的、JHDK(幼若ホルモン代謝酵素):大型と小型の境界領域(大型細胞の一部と推定されていた)での発現が弱い)との発現比較を行なった。その結果、どちらとも発現が重ならないことから、この遺伝子は大型・小型細胞の境界に存在する、新しい細胞層(第3層)に選択的に発現することが判明した。さらに、視葉でもCaMKIIとこのクローンの発現は排他的であった。以上の結果、キノコ体は固有な遺伝子発現パターンをもつ3層構造をとること、キノコ体と視葉の双方が同一遺伝子の発現パターンに基づくモザイク構造をもつことを示唆した。また、同様なCaMKIIの遺伝子発現パターンは近縁種マルハナバチでも観察されたため、キノコ体の3層構造はハナバチ科の昆虫に共通した構造である可能性がある。ミツバチのキノコ体は1980年代以降、2層構造を持つと考えられていたが、今回初めて第3の構造を見出した。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] In situ hybridization analysis of the expression of futsch, tau, and MESK2 homologues in the brain of the European honeybee(Apis mellifera L.)2010
Author(s)
Kaneko K, Hori S, Morimoto MM, Nakaoka T, Paul RK, Fujiyuki T, Shirai K, Wakamoto A, Tsuboko S, Takeuchi H, Kubo T.
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Journal Title
PLoS One 5(2)
Pages: e9213
Peer Reviewed
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[Journal Article] Expression of two microRNAs, ame-mir-276 and -1000, in the adult honeybee(Apis Mellifera L.)brain2010
Author(s)
Hori, S., Kaneko K., Saito, T., Takeuchi, H., Kubo, T.
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Journal Title
Peer Reviewed
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