2007 Fiscal Year Annual Research Report
N体シミュレーションを用いた銀河中心部における星団の進化の研究
Project/Area Number |
07J07797
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 通子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | N体シミュレーション / 星団 / 銀河系 / 銀河中心 / 中間質量ブラックホール |
Research Abstract |
本研究の目的は、星団も銀河もN体で表現したシミュレーションを行い、銀河系の中心部で見つかっている様々な構造の起源を明らかにすることである。そして、このような計算は星団の進化を正しく得るために必要不可欠である。しかし、従来の計算方法では時間がかかりすぎるため、新しい計算方法(BRIDGE)を開発した。これは、高精度が必要な星団のみをダイレクト法で解き、粒子数が多いが精度はそれほど高くなくてもよい銀河は近似アルゴリズムであるツリー法を使う方法である。そうすることによって、星団に必要な精度を保ちつつ全体を高速に計算できる。BRIDGEによって計算時間は大幅に縮小され、世界で初めて、銀河中での星団の進化を星団・銀河共にN体で計算することに成功した。 このコードを用いて星団の軌道進化は準解析的に与える従来の計算方法との比較を行った結果、銀河もN体として軌道進化を正しく計算した場合、従来の方法で計算するより星団の軌道進化がずっと速いことがわかった。これは、これまでの計算結果は軌道進化のタイムスケールを過小評価していたことを示している。さらに、銀河中心の巨大ブラックホール、星団内での星どうしの衝突・合体からブラックホールの形成も扱えるようにコードを改良した。これによって、星団内での星の暴走的合体による中間質量ブラックホールの形成と銀河による星団の潮汐破壊を同時に計算できるようになった。今後、様々な初期条件についてシミュレーションを重ねることで、我々の銀河中心で見つかっている様々な構造がどのようにできたかを明らかにしていくことができるだろう。
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Research Products
(3 results)