2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J07805
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 順敬 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 原子核反応 / 電荷平衡化 / エキゾティックな原子核(不安定核) / TDHF |
Research Abstract |
エキゾティックな原子核が関与する反応に特有な性質を明らかにすることに主眼を置いて研究を行った。原子核が衝突する際には、原子核内のスピン分布に偏りが生じることが指摘されていたが、そういった偏りの度合いがエキゾティックな反応において小さく抑制される効果があることを明らかにした。それに対して二つの異なる励起機構(具体的にはアイソスカラーなスピン励起とアイソベクターな電気双極子励起)が競合するというモデルを提案した。 重い原子核の関与する反応(一般的に、これらの反応は中性子数と陽子数の比が1と大きく異なる原子核同士の反応となる)に関する研究を行った。結果として、重い原子核同士の反応において、急速な過程として電荷平衡化過程が重要で、それが起こるかどうかということによって反応の最終生成物に大きな違いが出ることを示した。重い原子核同士の反応において電荷平衡化過程の有効性が議論されたのはこれが初めてである。以上の研究はいずれもTDHF理論に基づいている。TDHF理論にこれまでに導入されていなかった、テンソル力の効果を導入し、テンソル力に依存した反応を計算できる理論的枠組みを構築した。平成20年2月からは、TDHFを基にしてトンネル効果・α崩壊を扱える理論的枠組みを構築するための研究を開始している。 国際会議で4回の発表を行い結果を学術雑誌上でも公表している。またいずれの結果についても2007年12月に出版した学位論文において詳述した。
|
Research Products
(8 results)