2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J07830
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深谷 健 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 政府規制 / 企業戦略 / 政策の意図 / 政策の再構築 / 官民構造 |
Research Abstract |
本研究は、『政策を逆から捉える』という独自の観点から、『政府の規制変化に対して、市場の企業がいかに戦略を再構築したのか、それに対して、政府はいかに規制を再構築することになったのか』、に関して事例研究を基に実証分析を展開し、現代日本の規制をめぐる官民構造の実態を把握しようとする試みである。この期間は、その視角を基に、(1)事例研究対象の再選定と着手、(2)仮説の基礎構築、(3)規制研究・戦略研究の文献調査、分析枠組の検討を行った。 第1に、事例研究対象の選定に関して、従来政府による規制統制の強かった領域において規制緩和と共にいかなる変化・相違が観察されるのかを検討するため、航空輸送・情報通信・石油の3産業を選定して、それぞれの規制をめぐる展開の経緯・過程を、社史・広報誌・業界紙を使い明らかにし、比較分析を行った。競争促進の過程において、寡占化など競争逆行型の形態が出現(航空)したことや、当初の意図以上の競争状態が出現(情報通信)したこと、ソフトランディング型を意図しながらもハードランディング型の帰結に至った(石油)ことなど、産業ごとに大きな特徴が現れていることが観察されている。形態・相違の具体的要因分析は今後の課題である。 第2に、上記事例研究から、仮説の基礎部分を構築した。それは、『政府の規制変化は、市場競争環境における企業組織の認識前提を変化させ、戦略・方向性の再構築を促し、市場の企業組織の戦略・方向性の再構築とその帰結は、必ずしも政府の意図した方向と同じものではなく、再び行政組織の認識前提を変化させ、一定の政策再構築を必要とすることがある』、というものである。 第3に、日米の規制研究を概観し、企業戦略論の観点から規制政策との相互作用の分析枠組の構築・理論化を試みている。この点に関して、上記事例研究の深化・既存規制行政研究の相対化と共に更なる検討が望まれる。
|